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2014年4月11日 (金)

STAP細胞問題と旧石器発掘捏造事件

4月9日の小保方晴子氏の会見を見ていて改めて認識したのは、小保方氏のあまりにもずさんな研究の進め方と、あまりにもアバウトなデータの扱い方でした。やはり、彼女は「研究者」ではなく、実験する「作業者」だったのだと感じました。

STAP細胞はチャールズ・バカンティ教授(ハーバード大)と大和雅之教授(東京女子医大)が提唱したもので、小保方氏はその立証のために、せっせと実験を行ってきたわけです。理研に入ってからは、笹井芳樹副センター長の論文構想に合うようなデータを出すために実験を続けていたと言われています。

要するに、全体をデザインしているのは小保方氏の上司にあたる「研究者」であり、彼女は彼らの期待に沿うようなデータを出すための「作業者」の役割を担ってきたことになります。今回の問題の本質は、「研究者」と信頼関係にある「作業者」が出してきたデータを「研究者」が鵜呑みにし、大々的に発表してしまったことにあるのではないでしょうか?

ここで、2000年に起こった「旧石器発掘捏造事件」のことを思い出しました。遺跡発掘現場で次々と旧石器を探し出す「ゴッドハンド(神の手)」と呼ばれた藤村新一氏が、じつは25年もの間、東日本各地で捏造行為を続けていたことが明らかになったというショッキングな事件です。

なぜ、そんなに長い期間、捏造がばれなかったのか? それは、考古学愛好家にすぎない一介のサラリーマンである藤村氏が、遺跡発掘を主導する「研究者」たちが期待する形態の旧石器を、彼らが期待する地層から次々と見つけ出していたからです。自分の仲間である「作業者」が自らの仮説を裏付ける発掘をしたということで、「研究者」たちは自信を深めました。この問題の本質も、「研究者」と信頼関係にある「作業者」が出したデータを「研究者」が鵜呑みにしたことにあったといえるでしょう。

こうやって見ると、あまり関係なさそうな両事件の間にも共通点があることがわかります。結局、藤村氏の旧石器発掘はすべて捏造だったわけですが、果たしてSTAP細胞はどうなのでしょうか?

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コメント

いなぽん、こんにちは。

私は、小保方氏は、博士号を取得している時点で、完成された研究者であると、そうお墨付きを貰えたと判断しています。
よって、この点(彼女の資質)については、博士号を授与した、早稲田大学大学院にこそ、研究者育成機関として欠落があり、信用性を落としたと思います。

博士論文の時点で、もっと厳しく指導・チェックされていたら、こんな事態にはならなかったと、大変悔しく思います。

早稲田が、博士論文受理を撤回して、博士号を剥奪するとか言ってるのは、自分たちの怠慢を棚にあげておいて、教育者として何を考えているんだと憤りさえ感じる。

投稿: Miwako@Seattle | 2014年4月11日 (金) 09時05分

Miwakoさん、コメントありがとうございます。

個人的には、医歯薬学系の学部をまったく持たない早稲田大学が再生医療の研究を手掛けたことで「背伸びしすぎた」ことから起こった悲劇だと思っています。

ご存知のとおり、小保方氏の院生時代の研究のほとんどは、早稲田大学の内部では行われることなく、東京女子医科大学(厳密には早大との共同研究施設であるTWINS)と、ハーバード大学でなされています。当然、これらの大学では早大生は「お客様」ですから、研究者としての厳しく教育を受けることが期待できるはずもありません。

そして、院生時代の研究成果についても、その内容をほとんど理解することができない早稲田大学サイドの教員がメインで行い、博士号などの学位を付与するという構図なのですから、「早稲田大学が教育機関として無責任」と言われても、これはもう、仕方がないことだと思います。

投稿: いなぽん | 2014年4月11日 (金) 23時16分

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