« 「FM Yokohama FUTURESCAPE」出演が無事終了! | トップページ | 『すばらしき特殊特許の世界』の増刷分が届きました! »

2014年3月25日 (火)

特許から見たSTAP細胞論文問題(その1)

Staptimeline

今回は、「特許から見たSTAP細胞論文問題」を取り上げてみたいと思います。特許出願があるというのに、各種メディアでは特許の観点から分析したものが皆無なので、私が説明することにしました。

まず、上の線表をご覧ください。(3/21(金)の東工大での講演会で使用したものと同じです。)これをもとに、STAP細胞の論文投稿と特許出願のタイミングについて見ていくことにします。

まず、2011年末頃に小保方氏は、当時理研にいた若山照彦氏(現・山梨大教授)の協力を得て、STAP細胞からマウスを作製したとされています。そこで、2012年4月に、Natureに最初の論文投稿を行うものの、「数世紀に及ぶ生物細胞学の歴史を愚弄するもの」として拒絶されてしまいます。

この論文投稿の際に、小保方氏らは最初の米国出願をしています(米国出願1<61/637,631>)。これは、論文が掲載されると、その発明は新規性を失い、その後に特許が取れなくなってしまうためです。

その約1年後の2013年3月、小保方氏らはNatureに論文を再投稿します。その際に、2番目の米国出願がされています(米国出願2<61/779,533>)。そして、その翌月に、米国出願1と米国出願2に基づいた優先権を主張し、国際出願(PCT/US2013/037996)がされています。米国出願1から1年以内に優先権を主張して他国に出願しないと、米国出願1の出願時の利益が得られなくなるためです。

再投稿された論文は無事に受理(receive)されるのですが、すぐに掲載には至っていません。それから9ヶ月間、小保方氏らに対して査読者による質問や修正要求などが行われたためで、掲載用の最終稿が受理されるのは、2013年12月となっています。(2014年1月に掲載され、その前日に大々的な発表がなされたことは、皆さんご存知のとおりです。)

ちなみに、国際出願の内容は、2013年10月に国際公開されています。実は、優先権の基礎となった日(米国出願1の出願日)から1年半後に出願内容が公開されるルールになっているため、このタイミングで国際公開がなされたわけです。

「国際公開されたということは、STAP細胞の作り方もオープンになってしまったのでは?」と考えた方も多いかと思います。その理解は正しいです。本来、論文がオープンになって特許が取れなくなるのを避けるために前もって特許出願していたのに、いつまでも論文が掲載されない状態が続いたため、特許出願の内容が先に知られてしまったわけです。

こうなると、国際公開の内容を参考にSTAP細胞を作製して、小保方氏らよりも先に論文発表する研究グループが現れるかもしれません。研究の世界は「先に論文を出した者勝ち」です。そのような事情から、小保方氏らがNatureへの論文掲載を急ぐ必要があったのは間違いありません。

次回は、このような時系列を踏まえた上で、どのようなかたちで論文に不適切な記載がなされていったのかを考察していきたいと思います。

|

« 「FM Yokohama FUTURESCAPE」出演が無事終了! | トップページ | 『すばらしき特殊特許の世界』の増刷分が届きました! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 特許から見たSTAP細胞論文問題(その1):

« 「FM Yokohama FUTURESCAPE」出演が無事終了! | トップページ | 『すばらしき特殊特許の世界』の増刷分が届きました! »