皆さんは、米YouTube社が運営する動画共有サイト「YouTube」をご存知でしょうか?同社は、元PayPalの従業員であったチャド・ハーリー氏ら3人が昨年2月に設立したベンチャー企業です(カリフォルニア州シリコンバレーのサンマテオにオフィスを構え、従業員はわずか25名)。<URL:http://www.youtube.com>
ホームビデオからプロの作品に至るまで、ユーザが動画を自由に公開、視聴できることが特徴で、アップロードされている動画が全部で4000万ファイル(これに毎日3万5000ファイルが新たに追加)もあるという”常軌を逸した規模の大きさ”から、現在、米国で爆発的な人気となっています。日本でも各種ブログや「2ちゃんねる」などからリンクが頻繁に貼られるようになったため、今年に入ってからアクセスが急増し、現在は日本でも月間200万人以上が利用していると言われています。

これが「YouTube」のトップページですが、右上のキーワード検索を使うと、入力したキーワードに関連した動画のリストが一気に表示されます。日本語での検索も可能です。色々と検索してみれば直ぐに分かりますが、著作権法に抵触すると思われるコンテンツばかりが引っ掛かってきます。特に、音楽やアニメ・特撮に関するテレビ番組が非常に多く、著作者に無断でアップロードされているのは間違いありません。
しかしながら、新しいものから古いものまで相当広い範囲で動画が網羅されているのには驚きました。音楽関係では、「小泉今日子」「松田聖子」などの歌手名で検索すると、デビュー当時と思われる彼女たちの初々しい姿を拝むことができますし、「岡田有希子」で検索すると、生前の彼女が可憐な笑顔で「くちびるネットワーク」を歌う様子が確認できます。懐かしくて涙が出てきそうになってしまいました。パンチラなどの、いわゆる”お宝動画”もありました。
また、アニメや特撮のテレビ番組も数多く公開されています。マニアが個人的に保存していたと思われる封印作品もあったりしますから驚きです。権利問題、その他の理由から再放送のメドがまったく立っていない「キャンディ・キャンディ」や「ジャングル黒べえ」などのオープニング映像(主題歌がちゃんと流れる)や、被爆者差別に繋がるとの指摘から永久欠番となった「ウルトラセブン」第12話の映像なども公開されていました。
その他には、ニュースやワイドショウの動画が多いです。洋画家・和田義彦氏の盗作疑惑について調べてみようと「和田義彦」で検索すると、なんと60件もの動画をヒットしました。米国にいながらにして、和田氏本人がワイドショウに電話出演して色々と弁解している様子を見ることができてしまうとは、何とも不思議な気分です。
いずれにせよ、こんな状態ですから、著作権的に「無法地帯」と化しているのは間違いありません。かつて音楽ファイルをユーザが無償で交換し合うことができた「ナップスター」のことが思い出されます。「ナップスター」は音楽だけでしたが、今回はこれに映像までついてくるのですから、さらに始末が悪いです。
もちろん、YouTube社も、訴えられたり業務を停止させられたりする事態を防止すべく、著作権に抵触するコンテンツを一切アップロードしないようユーザに呼びかけていて、問題があると思われる動画は、どんどん削除しているようです。しかしながら、毎日3万5000ものファイルが新たに追加されている現状では、米国のコンテンツ以外には全然目が行き届いていないようにも思えます。(実際、日本のコンテンツは野放しになっているようにしか見えない。)
今年3月から、一部のユーザ以外は10分以上の動画をアップできないように仕組みを変更したりしていますが、30分のテレビ番組ならば単に3分割すればいいだけの話で、ほとんど功を奏していないようです。(人気の高いアニメシリーズなどは、全話がアップロードされていたりします。)また、「YouTube」から直接動画のダウンロードはできないとされてはいるものの、実際には他のサイトやツールを利用して簡単にダウンロードして保存、再生することが可能ですし、それを再アップすることもできますから、ユーザがダウンロードする前にコンテンツを削除しないことには、その削除作業も、ほとんど意味をなしません。それでも、NHKなどは地道に「YouTube」に削除依頼を出しているようです。
まあ、それでも負の面ばかりではないでしょう。制作者の視点からすれば、予告編なんかを流すことによって、テレビ番組や映画のプロモーションにも繋がりますし、現在では容易に手に入らなくなったコンテンツをユーザが発掘できたりもしますから、それによって皆に忘れ去られていた作品が復活することなども考えられます。また、「YouTube」のビジネスモデルも、現在はGoogleのアドセンス広告が単に表示されるのみですが、膨大なユーザ数を背景に新しいビジネスチャンスが出てくるかもしれません。
なお余談ですが、著作権的には無法地帯ではあっても、エッチなコンテンツの無法地帯ではないことも分かりました。どうやら、猥褻(わいせつ)なコンテンツの根絶にも力を入れているようで、こういった動画は即座に削除されているようです。いくら頑張ってみても、エッチな動画はほとんど引っ掛かってきませんでした。たまに引っ掛かってきても、既に削除された後で、”This video has been removed due to terms of use violation.”(この動画は使用条件に違反したため削除されました。)と表示されるのみとなります。エッチな動画は誰にでも直ぐに分かりますから、著作権違反のコンテンツと比較すると、その根絶は意外に容易なのかもしれません。
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