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2018年12月27日 (木)

北朝鮮に賠償命令 約550億円の算定根拠について

今月24日、2016年に北朝鮮で拘束されて解放後に死亡した米国人大学生オットー・ワームビアさんの両親が起こした裁判で、米国の首都ワシントンにある連邦地裁は、北朝鮮に5億100万ドル(約550億円)の支払いを命じました。

この額の大きさに驚かれた方もいるかもしれません。日本では、実際に生じた損害を金銭的に評価した額を賠償額として採用するため、こんなことにはならないのですが、米国には「懲罰的損害賠償」(punitive damages)といって、加害者に制裁を加える目的で賠償額を上乗せさせる制度があるのです。

米国の報道を見ると、5億100万ドル(約550億円)の内訳は次のようになっているようです。

本人: 2100万ドル(補償的損害賠償)+1億5000万ドル(懲罰的損害賠償)
父親: 1500万ドル(補償的損害賠償)+1億5000万ドル(懲罰的損害賠償)
母親: 1500万ドル(補償的損害賠償)+1億5000万ドル(懲罰的損害賠償)

精神的苦痛や経済的損失により評価される「補償的損害賠償」は全体の約10%に過ぎず、残りの約90%が「懲罰的損害賠償」となっていることがわかります。北朝鮮の経済規模は鳥取県レベルに過ぎませんし、また、拷問の疑いを繰り返し否定していますから、さすがに北朝鮮が支払いに応じることはないように思います。

Nkx

2018年12月21日 (金)

文化放送「The News Masters TOKYO」に出演しました!

本日朝は、文化放送「The News Masters TOKYO」の今年最後の出演でした。7時台の崔真淑さん(エコノミスト)の後、8時台を担当しました。今回は個人情報の保護や中国への技術流出など知財周辺の話をさせていただきました。後半は銀座でバーを経営する人間観察のマスターKazuquoママの興味深い話を伺いました。今度お店にも行ってみようと思います。

Nmt

2018年12月18日 (火)

登録商標「東京ミッドタウン」の商標権者の謎

先週末、東京・六本木の東京ミッドタウン・ミッドタウンガーデンで開催中のイルミネーション(スターライトガーデン2018)を見てきました。

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「東京ミッドタウン」(商標登録第4917072号ほか)と「ミッドタウンガーデン」(商標登録第5406519号ほか)は商標登録済みですが、権利は10社の共有となっています。旧防衛庁の広大な土地を取得する資金調達のためにコンソーシアムで入札した名残のようですね。

アール・ピー・ベータ特定目的会社 ←三井不動産が出資
JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)
積水ハウス
富国生命
大同生命
アール・ピー・アルファ特定目的会社 ←明治安田生命が出資
アール・ピー・ガンマ特定目的会社 ←三井不動産が出資
アール・ピー・デルタ特定目的会社 ←三井不動産が出資
アール・ピー・エータ特定目的会社 ←三井不動産が出資
アール・ピー・イプシロン特定目的会社 ←三井不動産が出資

六本木に来たのは、政策研究大学院大学で開催された「第200回Smips(知的財産マネジメント研究会)記念コンファレンス」参加のためです。(SDGs(持続可能な開発目標)とブロックチェーンが話題の中心でした。)2000年4月から19年近くも継続されているとは本当に素晴らしいです。懇親会では、長らくお会いしていなかった方々とも交流を深めることができ、大変有意義な一日でした。

2018年12月11日 (火)

政府、華為技術とZTE排除決定 米に歩調合わせ、名指しは回避

「The News Masters TOKYO」にコラムを投稿しました。

http://www.joqr.co.jp/nmt/column/post-610.php

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2018年12月 9日 (日)

『オリンピックVS便乗商法』友利昴(作品社)を読みました!

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『オリンピックVS便乗商法:まやかしの知的財産に忖度する社会への警鐘』友利昴(作品社)を読了しました。

IOC(国際オリンピック委員会)などのオリンピック組織による権利主張の「怪しさ」については、私が今年8月に上梓した『こうして知財は炎上する-ビジネスに役立つ13の基礎知識』(NHK出版新書)でも取り上げています。ですが、拙著ではわずか16ページあまりで説明しているところ、こちらは300ページを超える力作に仕上がっており、巻末の膨大な出典情報から、過去の報道や先行研究を詳細に調査したことが伺えます。

本書では、IOCなどが過剰な権利主張をするようになった歴史的経緯や、初の東京五輪が開かれた1964年当時の関係者の対応などについても詳しく説明されており、知財や広告の関係者以外の方にとっても興味深い内容となっています。法を超えた忖度(そんたく)がまかり通る社会は健全なものとはいえず、「知財もどき」に対して否定的な私の考えにも通じるところがありました。

2018年12月 8日 (土)

日本知財学会での発表が無事終了!

先週末、大阪工業大学で開催された日本知財学会(第16回年次学術研究発表会)に参加ししました。会場であるOIT梅田タワーの最上階のレストラン(学生食堂)からの眺望が素晴らしかったです。

私自身も、知財事件と新聞報道との関連性についての発表を行いました。知財啓発に関する活動を、どのように社会をより良くする方向性に活かしていくか、といった課題についても改めて認識したところです。引き続き努力していきたいです。

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いなぽんの本

  • 稲穂 健市: こうして知財は炎上する―ビジネスに役立つ13の基礎知識 (NHK出版新書 558)

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  • 稲森謙太郎: すばらしき特殊特許の世界

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